天は赤い河のほとり 篠原千絵

化粧水を効率よく肌に届けるルルルンのフェイスマスク





長い休みにはこれを一気読み!篠原千絵先生の「天は赤い河のほとり」です!日本の女子中学生が古代のオリエント、ヒッタイトにタイムスリップです。現代には戻りません。現代の智恵もそんなに駆使しないのでそこまでチートなわけでもなく、ただただ頑張る女の子を応援するのみです。名作です。単行本全28巻、文庫版全18巻です。そのほかにマイクロ版や篠原先生作の外伝小説も出ています。小説は未完なんです。。



タイトルの「赤い河」とはクズルウルマク川を指すそうです。
世界史で勉強します、古代のヒッタイトで鉄が生産されるようになったというあのヒッタイトに主人公は引っ張られていきます。

第一志望の高校に合格したばかりの中学生・鈴木夕梨(ユーリ)は、ボーイフレンドの氷室聡との仲もいい雰囲気となり、暖かい家族に囲まれて幸せな毎日を送っていました。しかし、そのころから水に関係するところで奇妙なことが起こります。理科準備室の水槽から手が現れ引きずり込まれようとしたり、お風呂に入っていてら浴槽の中から「この娘だ」と声がして、また手が現れ引きずり込まれようとします。そして、雪の溶けかかったある日デートの最中に水たまりから現れた両手によって、引き込まれてしまいます。両手から逃れて水中から顔を出したユーリが目にしたのは、紀元前14世紀のヒッタイト帝国の首都ハットゥサでした。

ユーリを召喚したのは、国内で絶大な権力を持つ皇妃ナキア。訳も分からぬままナキアの私兵から逃げ惑うユーリを自分の側室と偽って助けたのは、第3皇子カイルでした。皇子に助けられたもののあまりの訳の分からなさに逃げ出しナキアに捕まります。首を切りその流れる血を使い邪魔な皇子たちを殺すための生贄にするために夕梨をニッポンから呼び寄せたとナキアは話します。そして、ヒッタイトの泉から出てきた少女を自然に殺すために、儀式をします。そこには皇子たち、皇帝、皇妃勢ぞろいの席でした。皇妃は神殿を司る神官でもあるため、皇帝に泉から出てきた娘をどうするか尋ねられると、神が下さったものは神へお返しすると、神への生贄にすると言います。
いよいよ首を切られると言うその時、助けてくれたのはまたしても第3皇子カイルでした。その有能さと亡正妃の皇子であることからナキア皇妃から一番邪魔に思われている存在でした。ナキア皇妃自身の息子である第6皇子ジュダに皇位を継がせたいナキアが、邪魔な兄皇子達を呪い殺す生贄としてユーリを呼び寄せたことを知ったカイルは、そのままユーリを自らの宮に連れて帰ります。帝国一のプレイボーイだそうで、誰も不思議には思わないのです。皇子の宮には普通は側室、正室の妃がいるようですがカイルにはまだどちらもおらずユーリが初めての妃ということになります。

有力な皇子に引き取られ、日本へ帰りたいユーリはカイルにどうやったら日本へ帰られるのか聞きます。3つの条件"高位の神官の魔力"、"暁の明星(イシュタル)の登る「水の季節」に、国内7つの泉が満ちる時"、"ユーリが着て来た服"を揃えなくてはいけない、とカイルは答えます。ユーリはナキア皇妃が手伝ってくれるわけがないと言いますが、必ずしもナキアでなくてもよく、同等の魔力を持つ神官なら大丈夫だと言います。カイルもナキア皇妃と同等の力を持っており、自分が手伝うと言ってくれます。しかし、一刻も早く日本に戻りたい一心から罠と知りつつもカイルの使用人ティトを伴ってナキアの宮に忍び込みます。ユーリは服を取り戻すことができますが、ティトを犠牲にしてしまいました。そして日本に還る儀式に臨んだユーリでしたが、ティトの仇討ちを誓って翌年の泉の満ちる"水の季節"まで帰還を見送ってしまいます。

日本に帰りたいと思うたびに皇妃の邪魔が入り帰ることができませんが、徐々に家族とカイル皇子とどちらを選ぶか悩みだすユーリ。皇妃の邪魔にもかかわらずカイルは実力を示し、皇太子、そして皇帝になっていきます。そのそばで支えたいと思うようになるユーリですが、ユーリの皇妃としての資質に気づいたカイルやその側近たちの他に、エジプトから来た軍人ラムセスもいました。
歴史の知識もほぼなく、運動神経の良さと健康な心身、そしておそらく現代的な考え方が時の権力者たちをひきつけていったユーリの活躍をぜひ。

古代エジプトからミタンニ、アッシリアなど歴史好きにはたまらないですし、ラブな話も盛沢山です。長期の休みにぜひ一気読みしてください。
ラストのシーンは、雑誌掲載時と単行本、文庫版と3回書き直されています。滅びた文明なので、というのがよく分かります。雑誌版はもう見られませんが、単行本と文庫版は見比べられますので見てみてください。







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